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生産者の工夫と情熱がはぐくんだ大地の恵み。「おいしかった」の声が、つくる喜びに。 農畜産物は、大地と人、つくる人と食べる人を結ぶ大切な「絆」です。

茨城町越安 萩谷 喜一さん

担い手として活躍する萩谷さん

担い手として活躍する萩谷さん


前向きに農業、規模拡大にも意欲

茨城町越安の萩谷喜一さん(47)は、米、ネギ、トウモロコシ合わせて5ヘクタールの栽培に取り組んでいます。
8年前に会社を退職。一念発起して実家の農業を継ぎました。萩谷さんは、「就農時からJAに相談し、今では順調に経営規模拡大に取り組めています」と、話します。地域農業の担い手として、耕作放棄地などを借りて面積を増やしていますが、「雑草など、ほ場の管理が大変です」と、苦労する面もあります。
今年から、当JAの同町バンタム生産部会の部会長を務めており、トウモロコシの面積拡大にも取り組みました。農業に対し、「消費者に売り物として出す以上、部会の規格・基準、法令などをしっかりと守り、『安全・安心』で、きちんとしたものを作っていきたい」と、こだわりを見せています。
現在は、16歳から2歳まで3人のお子さんの成長が楽しみな萩谷さん。「一番下の子が成人するまでは、農業を継続し、家族を養っていきたい。今後も規模拡大に挑戦したいと思います」と、笑顔で話していました。

水戸市内原地区 青木 良彰さん

農大時代の仲間・高野悟さんと田植えを行う青木さん(左)

農大時代の仲間・高野悟さんと田植えを行う青木さん(左)

地域や仲間との「絆」大切に

水戸市内原地区で、麦・大豆・米など合わせて40ヘクタールを栽培する青木良彰さん(27)は、地域の担い手として活躍中です。
ひたちなか市の兼業農家出身の青木さんは、高校3年生の時に、内原地区で農業をしていた母方の祖父が亡くなったことをきっかけに就農を決意。県立農業大学校で学んだ後に、亡き祖父の水田40アールで農業をスタートしました。
「全く何もないところから始めました」と、話す青木さん。機械が好きで工業高校出身という経歴をいかし、中古農機を自ら直すなどして機材をそろえ、年々面積を増やしていきました。「その時に、内原の方がたや農業大学校の仲間などに、大変お世話になりました。農業は地域や人との『絆』が大切な仕事だと実感しました」と、振り返ります。
耕作できない農地を借りて、面積を増やす中での課題を「農地が『飛び地』化したので、農作業や管理には苦労します」と話す青木さんは、「農業は大変だけどおもしろい」と、やりがいを感じています。今年は青年部に加入し、「今後は、盟友たちとの交流を深められるようにしていきたいと思います」と、希望にあふれた未来を見据えています。

繁殖和牛 大曽根 健一さん

繁殖和牛に取り組む大曽根さん

繁殖和牛に取り組む大曽根さん

「飼料も自ら栽培」繁殖和牛に強い思い

水戸市下国井町の大曽根健一さん(75)は、繁殖和牛で親牛7頭を飼育しています。肉用牛の生産農家は、母牛を飼育して種付けをし、生まれた子牛を市場へ出荷するまで飼育する繁殖農家と、子牛を購入して肉牛に育てる肥育農家の大きく2つに分かれます。大曽根さんは、飼料用の牧草やトウモロコシは、近くの耕作放棄地などを借りて10ヘクタールを自ら栽培しているほか、水稲を収穫した後のワラも活用しています。
「就農したのは東京オリンピックの頃」と話す大曽根さんは、50年以上のキャリアの持ち主。若い頃から研究熱心で、オリンピックの翌年の昭和40年に、アメリカで実習を積んだ経験もあります。「農業を学んだ中で、全国各地に仲間ができました。今はその仲間たちと交流するのが楽しみです」と、話しています。
生まれた子牛を繁殖農家が育てる期間は、約10ヵ月。「最近は人工授精が主流なので、難しい面もありますが、子牛を育てる10ヵ月は、牛の資質が決まる重要な時期なので、腕の見せ所だと思っています」と、話す大曽根さん。「今後も良質な子牛を出荷するため、日々研さんを深めていきたい」と、強い思いを見せていました。

常北地区施設園芸部会 飯村 静雄さん

トマトの苗を見る飯村さん

トマトの苗を見る飯村さん

安全・安心はもちろん、おいしさにもこだわりを

当JAの常北地区施設園芸部会に所属する城里町増井の飯村静雄さん(69)は、トマト20アールのほか、ハウス栽培ではキュウリ、アスパラガス、露地栽培ではゴボウ、ナガイモ、ショウガ、ニンジンなどを作っています。
県の特別栽培農産物の認証を受けている同部会のトマトは、化学肥料や化学合成農産物を減らした安全・安心の栽培を行っています。「安全面だけでなく、おいしさにもこだわりたい」と、話す飯村さん。トマトの交配にマルハナバチ(丸花蜂)を使うなど、自然に近い形での栽培も心掛けています。
生産者10人で構成する施設園芸部会には、近年、若手農家や新規就農者が新たに仲間に加わっています。飯村さんは、「農家の後継者不足は懸念するところですが、部会の若い仲間たちの活躍は大変頼もしいです」と、期待を寄せています。
5月中旬から7月中旬の出荷に向け、トマトの定植を行う飯村さんは、「今後も味にこだわり、消費者に喜ばれる野菜づくりに取り組みます」と、意欲を見せていました。

茨城町宮ヶ崎 柳 洸太さん

農業にやりがいを感じる洸太さん

農業にやりがいを感じる洸太さん

消費者の『おいしい』が励みに

地域農業の担い手として活躍中の柳洸太さん(28)。茨城町宮ヶ崎で、当JA茨城町地区のひぬま産直部会とメロン生産部会に所属する父親の義之さんと温室トマト40アール・抑制トマト50アール・メロン80アールを営んでいます。「もともと家業を継いで農家になるつもりでした」と、話す洸太さんが就農したのは6年前。社会勉強のために、会社勤めを経験した後でした。
天候に左右されることが多い農業。洸太さんは「農産物も生き物なので、毎シーズン同じ方法が通じるわけではないので大変です」と、農業に難しさを感じています。一方で、義之さんがひぬま産直部会の部会長を務めていることから、消費者との交流することがあります。「農作業は大変ですが、良いものが収穫できた時は、何よりもうれしい。消費者の皆さんの『おいしい』という喜びの声が励みになります」と、充実も実感できるのも農業の魅力です。
「自分の中ではいろいろと課題もありますが、今後も経験を重ねて、農業を続けていきたいと思っています」と、洸太さんは力強く語っていました。

水戸市河和田町 斉藤 利男さん

利男さん(中央)の後継者の研二さん(右)と達也さん

利男さん(中央)の後継者の研二さん(右)と達也さん

頼もしい後継者にふくらむ希望

水戸市河和田町の斉藤利男さん(63)はニンジン、ネギ、ナス、トウモロコシなど合わせて8ヘクタールを栽培しています。
現在、ニンジン、ネギの収穫を行う利男さんの頼もしい後継者は、研二さん(33)と達也さん(27)の息子さんたちです。就農して40年の利男さんは、「力仕事は、さすがに息子たちの方が上回ってきましたね」と、笑顔で話します。研二さん・達也さんともに勤めの経験があり、研二さんは13年前、達也さんは6年前に就農しました。「自分でやらないと進まないことが大変であり、やりがいでもあります」と、研二さんは話します。
JAへ出荷するほかに、つちっこ河和田、さくら直売所、水戸市内3店舗のカスミのインショップと、直売所用の農産物も栽培しています。「農業は、天候に左右されるなど、時間通り思い通りにはいかないです。市場価格もさまざまな要因で上下するので、比較的価格が安定する直売所も魅力的な売り先です」と、利男さんは分析します。
「一から十まで全て自分でやらないといけないのが農業。2人ともいろいろと考えて、やりがいを持って農業と向き合っていると思います」と、目を細める利男さん。若い担い手に希望がふくらみます。

水戸市青柳町 宮永 雅一さん

就農して丸4年となる宮永さん

就農して丸4年となる宮永さん

試行錯誤重ね、農業に感じた魅力

水戸市青柳町の宮永雅一さん(51)はネギ60アール、キャベツ春秋合わせて50アール、水稲3ヘクタールを栽培しています。
宮永さんは、以前は、別な仕事に就いていましたが、勤務先が5年前の東日本大震災で被害を受けたことを機に、家業を継ぐことを決意。就農して丸4年が経ちました。「いずれは農家を継ぐつもりでしたが、農業は休日に手伝うくらいでしたので、本格的に初めて見ると大変でした」と、振り返ります。
「いつ何をやって良いのか、全く分からなかった」農業でしたが、父親の優さんのやり方を参考にしながら取り組みました。また、周りの農家に相談したり、農業日誌を付けたりと、試行錯誤を重ねました。現在、優さんは引退し、奥さんのあつ子さん、母親の公さんとともに農作業に汗を流しています。
「農業は天候に左右されるので、大変な面がありますが、時間の調整がしやすいことと、手を掛ければその分良いものが収穫できて、収入にも反映されるところが良いですね」と、農業の魅力を話す宮永さん。今後は「規模拡大を見据えながら、現状維持をしていきたい。家族経営なので人手の確保が課題です。低コスト・省力化の農業も検討していきたいと思います」と、話していました。

かつら地区レッドポアロー研究会 木村 昊さん

レッドポアローづくりに情熱を注ぐ木村部会長

レッドポアローづくりに情熱を注ぐ木村部会長

「食の世界遺産」伝統野菜を受け継ぐ

城里町(旧桂村)特産の赤ネギ「レッドポアロー」は、同町圷地区の那珂川流域でしかとれない地域の伝統野菜です。木村昊さん(83)が部会長を務める当JAかつら地区レッドポアロー研究会は、自家採種にこだわり続けます。
部会員数16人で2ヘクタールを栽培する同研究会は33年前に発足。伝統野菜を守りながら、品質向上を図っています。11月に収穫時期を迎えるレッドポアローですが、播種したのは昨年の9月と、手間と時間が掛かります。「農業試験場などに相談して、品種改良を試みましたが、この柔らかさと食味は、連綿と受け継がれた種を圷の土地でないとできません」と、木村部会長は話します。
ポリフェノールの一種であるアントシアニンを含んだ赤紫色の葉鞘部分を持つレッドポアロー。見た目の鮮やかさはもちろん、柔らかく食べやすいのが特徴です。2008(平成20)年には、食の世界遺産といわれる希少食材認定制度「味の箱舟=アルカ」に、県内で初の認定を受けました。
「レッドポアローはその特性上、手作業中心ですが、後継者を育てていくことが現在の課題です。手が掛かりますが、そのぶん誇りをもって、地域の伝統野菜を守っていきたいと思っています」と、話す木村部会長。レッドポアローの収穫は来年3月まで続きます。

茨城町 奥谷 尚明さん

加工用キャベツなどに取り組む奥谷さん

加工用キャベツなどに取り組む奥谷さん

サラリーマン経験いかし、「農業の可能性は無限大」

茨城町の奥谷尚明さん(35)は、加工用キャベツを年間1・5ヘクタール栽培しているほか、加工用バレイショ、飼料用米にも取り組んでいます。現在、需要が伸びているサラダやカット野菜などに使用する加工用キャベツは、6〜7月、10〜12月の年2回収穫され、現在、秋の収穫シーズンを迎えています。
農家出身の奥谷さんですが、大学卒業後に飲食業関係のサラリーマンを経験したのち、5年前に就農しました。「農家の後を継ぐということはあまり意識していませんでしたが、父が『農地が売れない』と悩んでいたため、生まれ育った農地を守ろうと、思い切って就農しました」と、話します。「ゼロからのスタートだったので、農業の知識は全くなく、就農当初は苦労しました。しかし、固定概念がなかったぶん、素直に学び、吸収できたことが今では良かったと思っています」と、奥谷さんは振り返ります。
「勤務時間や給料が決まっているサラリーマンに比べ、農業はやり方しだいで可能性は無限大とやりがいを感じています。今後は、前の仕事の経験をいかせないかと、いろいろと思案中です」と、前向きに農業に取り組んでいます。

内原地区農産物直売所「内原のめぐみ」 深谷 清正さん

自らも多品目を栽培する深谷部会長代行

自らも多品目を栽培する深谷部会長代行

設立10周年へ、一層の発展に意欲

水戸市内原の当JA内原地区農産物直売所「内原のめぐみ」は2006(平成18)年7月にオープンしたJA水戸では一番新しい直売所です。同直売所はイオンモール内原に隣接した商業地帯にあり、幅広い客層が訪れる直売所です。
部会員144人で構成する同直売所部会の部会長代行を務める深谷清正さん(65)は直売所設立から運営に携わっています。自身も自然薯や子供ピーマンなど、約30品目と多くの種類の農産物を生産しています。また、今年で6年目となる青パパイヤの栽培に関しては、「水戸パパイヤ」として新たな水戸市の名物として普及に尽力しています。
「同直売所は地元密着を目指し、高い地場産率はもとより、直売所ならではの珍しい品種の野菜を多数そろえ、めぐみでしか手に入らないような品ぞろえに努めています」と、深谷部会長代行は語っていました。同直売所は、毎月定期的にセールを開くほか、収穫祭や周年祭などでは、女性部や青年部なども協力し、内原地区全体で盛り上げています。また、同地区の小中学校に学校給食を納入するなど、地産地消に力を入れています。
深谷部会長代行は、「来年設立10周年を迎える直売所をさらに発展させるために、部会員全員で品質向上や新たな品目の導入などに取り組み、地元に愛される直売所を目指していきます」と、意欲を見せていました。

島営農生産組合 齋藤 広志さん

島営農生産組合の皆さん(右から入野組合長、広志さん、川﨑明男さん、齋藤政雄さん)

島営農生産組合の皆さん(右から入野組合長、広志さん、川﨑明男さん、齋藤政雄さん)

地域農業の維持拡大へ、期待の新人

水戸市常澄地区の島営農生産組合は、集落営農組織として2007(平成19)年に発足し、昨年4月1日に農事組合法人として、新たにスタートを切りました。同組合は今年、12人の組合員で、飼料用稲(ホールクロップサイレージ、以下WCS)を16ヘクタール、食用米6ヘクタール、その他にショウガ、キャベツの生産を行っています。なかでもWCSは、昨年度より約6ヘクタール増やしており、飼料用稲品種「夢あおば」の収穫を8月18日に開始しました。
今年4月から新たに同組合に入った地元農家がいます。齋藤広志さん(47)は、昨年度までは兼業農家として米づくりを行っていましたが、一念発起し今年から専業農家となりました。「今まで田植え機を動かした経験はありますが、WCSは専用収穫機、ラッピングマシーンなど専用農機を使っての作業なので、今は操作を覚える日々です」と、齋藤さんは話します。
営農生産組合の入野一郎組合長は、「まじめに農業へ取り組む姿は、好感がもてます」と、期待を寄せています。営農生産組合の皆さんも、「地域農業の維持・発展のためにも、新たに仲間入りしてくれるのは頼もしい。広志くんは独身なので、早くお嫁さんを見つけて下さい」と、エールをおくっていました。

水戸市堀町 安藏 久男さん

米づくりに力を注ぐ久男さん(右)と修一さん

米づくりに力を注ぐ久男さん(右)と修一さん

新しい栽培法、そして頼もしい後継者に期待

水戸市堀町の安藏久男さん(61)は、長男の修一さんと共に、水稲11ヘクタールを栽培しています。
今年から、飼料米の栽培を導入し、「チヨニシキ」など約10ヘクタールを作付けしています。久男さんは、「農家の高齢化と後継者不足による耕作放棄地を防ぐため、近隣の水田を借りて栽培しています」と、農地の維持に力を尽くしています。
飼料米として試験的に、九州・沖縄などで栽培されている品種「ミズホチカラ」を導入。台風に強く、飼料用だけでなく、米粉用としても利用できる品種です。「最近は、九州・沖縄並みに高温になるので、生育も順調」と、久男さんは話しています。また、種子を鉄粉で覆ったものを水田に直播きする「鉄コーティング直播栽培」を20アール試しています。この方法は、省力化と低コストを図れるため、久男さんは「水稲栽培の新しい形になるのでは」と、期待しています。
3年前に就農した修一さんは、「将来跡を継ぐため、親父の背中を追い続ける日々です」と、話しています。久男さんも「農機の扱いがうまく、根気もあります」と、期待を寄せています。2人は、「地域の美しい水田風景を守るため、今後も米づくりを継承していきます」と、意気込みを語っていました。

常北町地区施設園芸部会 近澤 行洋さん

多品目栽培に取り組む行洋さん

多品目栽培に取り組む行洋さん

農業志望者に「きっかけ」を与えたい

常北地区施設園芸部会は、昭和54年(1979年)に設立。同部会のトマトは、県の特別栽培の認証を受けているほか、城里町のブランド推奨品にも認定されています。同部会に所属する同町磯野の近澤行洋さん(61)は、4年前に部会に入り、トマト、キュウリ栽培を手掛けています。
「もともと農家をやりたいと思っていました」と話す近澤さんは、サラリーマンを退職し、10年前に就農し、露地野菜の栽培からスタートしました。現在は農業を志望する研修生を受け入れながら、オクラ、ナス、加工用ジャガイモ、キャベツ、里芋、ショウガなど多品目を栽培しています。「研修生を受け入れているので、いろいろと学んでもらいたく多くの品目に取り組んでいます」と、話します。
農業に対して近澤さんは、「365日・24時間、自分でコントールできる仕事なのが魅力です。しかし、いちから始めたり、新しい品目を導入したりするには、十分な資金と綿密な計画を立てる必要があります」と、話します。今後は、「高品質な農作物づくりはもちろん、農業を志望する方に、きっかけとなる『場』づくりを提供していきたいと思います」と、笑顔で話していました。

常澄地区イチゴ生産部会 人見 仁さん

「とちおとめ」の栽培に尽力する人見さん

「とちおとめ」の栽培に尽力する人見さん

2年前に就農、「JAの営農指導に期待」

水戸市川又町でイチゴ「とちおとめ」を10アール栽培する人見仁さん(57)は昨年12月中旬、本格的な出荷に向けて準備をすすめていました。
以前は、別の仕事をしていた人見さんが就農したのは2年前、家業を継ぎ農家となっていたお兄さんが亡くなったことがきっかけでした。人見さんは、代々続いた農地を守ろうと、家業を継ぐことを決心しました。「父親の代からイチゴを栽培していましたが、2年前の就農当時は全くの素人でした。常澄地区イチゴ生産部会に入り、先輩部会員の皆さんからアドバイスを受け、栽培方法を学びました」と、人見さん。「イチゴ栽培は温度管理が大変です。ひとりでやっているため、なかなか外出できないのが悩みです」と、話します。
「現在は、収穫量の安定確保に向けて努力しています。資材価格の高騰などもあり、低コスト栽培の必要性を感じています。JAに対しては、若い就農者を増やすためにも、農業経営全般の営農指導の強化に期待しています」と、人見さんは話していました。

大洗地区カンショ生産部会 藤沼 寛之さん

カンショの選別を行う藤沼さん

カンショの選別を行う藤沼さん

大洗のサツマイモは食味で勝負

大洗地区カンショ生産部会の藤沼寛之さん(39)は、18歳で就農し、妻の恵さん、母のくにさんの3人でカンショ(サツマイモ)4ヘクタールのほか、ダイコン、ニンジン、キャベツなどを栽培しています。
カンショ「紅あずま」のシーズンを迎え、出荷作業に精を出す藤沼さんは、「資材価格の高騰など、農業経営者として頭が痛い部分もあるので大変ですが、自分が働いた分だけ収入が得られるので、やりがいを感じています」と、話します。 同部会のサツマイモは、砂目で水はけが良い大洗町の土壌が栽培に向いていることから、食味の良さが市場から高く評価されており、藤沼さんも、「県内の他産地とは、量より質で勝負したいと思っています」と、高品質栽培に自信を見せています。
当JAの青年部に所属している藤沼さんの趣味は野球。高校でも野球部に所属していました。「農家の朝は早いですが、部活動での早朝練習などで鍛えたことが役に立っています。これからも消費者に喜ばれる農産物づくりを心掛けていきたい」と、笑顔で話していました。

かつら地区食用トマト部会 小林 勝夫さん

おいしいトマト作りにこだわりを見せる小林部会長

おいしいトマト作りにこだわりを見せる小林部会長

栽培歴40年、味が自慢のトマト

城里町のかつら地区(旧桂村)のトマト栽培の歴史は、オイルショック(1970年代)の時期にさかのぼります。かつては、タバコ栽培が盛んだった同地区の園芸農家が、施設園芸への切り替えが始まったのがその頃でした。
「栽培を始めた当初は、オイルショックの影響でハウス資材が手に入りにくく、苦労したことを覚えています」と話すのは、かつら地区食用トマト部会の小林勝夫部会長(75)。トマト栽培を40年続けています。
現在、栽培しているのは、「桃太郎」。無加温半促成で育てられる小林部会長のトマトは、有機質肥料を使った安全・安心で食味にこだわっています。
「土づくりと水管理が大変ですが、消費者の皆さんから『おいしい!』と、喜んでもらえるように心掛けているので、味には自信があります」と、話す小林部会長。「今後を担う後継者が不足しているのは不安ですが、身体が動く限り、トマト作りは続けていきたい」と、笑顔で話していました。

水戸園芸部会 吉田 啓吾さん

収穫前のメロンを手にする吉田さん夫妻

収穫前のメロンを手にする吉田さん夫妻

水戸園芸部会で唯一のメロン農家

水戸園芸部会の吉田啓吾さん(76)は、水戸市鯉渕町で奥さんの久代さん(70)と、ネット系メロン50アールを栽培しています。 同部会で唯一のメロン農家である吉田さんは、「平成7年に部会に入った当初は、12人位いたメロン農家も私一人となってしまい、少しさみしい気持ちもあります」と、話しています。就農当初の吉田さんは、梨の栽培を行っていましたが、昭和50年代からメロン栽培を取り入れ、平成に入ってから本格的に導入。以来20数年メロン一筋で、栽培に取り組んでいます。 現在、栽培しているのは、「オトメ」「レノン」「アンデス5号」の3品種。今月10日前後の「オトメ」の出荷に向け、準備を進めています。今年2月の大雪の影響などで生育は若干遅れ気味ですが、「品質は良いものができそうです」と、自信を見せていました。また、今年から栽培を始めた赤肉の「レノン」の出荷も楽しみとなっています。 吉田さんは、「メロンは、きれいなネットがかかるように心掛けて栽培するのが大変ですが、その分、良いものが収穫できた時の喜びは倍増します」と、話していました。

茨城町地区イチゴ生産部会 江橋 昭一さん

自慢のイチゴを手にする江橋部会長

自慢のイチゴを手にする江橋部会長

県知事も絶賛、高品質のイチゴ作りを

茨城町イチゴ生産部会は、「とちおとめ」を中心に生産者19人が5.2ヘクタールを栽培。安全・安心で環境にもやさしいイチゴ作りを行っています。「味はもちろん、色や形の良さで消費者に喜ばれるように心掛けています」と話すのは、部会長を務める江橋昭一さん。同部会では、農業に欠かせない水や土などの自然の恵みを守るため、環境に負担を掛けない農業に取り組む県のエコファーマーの認定を部会員全員が受けています。また、10年ほど前から、食味向上と鮮度維持の効果があるとされるステビア栽培も導入するなど、品質向上に余念がありません。 毎年の旬を迎えると、茨城町、JAの関係者とともに県庁などを訪れ、消費促進のPR活動を行っています。今年2月での訪問で、「糖度も十分で大変おいしいです」と、橋本昌県知事も絶賛の出来となっています。 同部会のイチゴは、県の銘柄推進産地の指定を受けていますが、江橋部会長は、「今後の目標は、県銘柄産地指定。部会員一丸となって取り組んでいきます」と、意気込みを話していました。

水戸園芸部会ニラ部 山﨑 透さん

ニラ栽培を始めて約50年の山﨑さん

ニラ栽培を始めて約50年の山﨑さん

元気でおいしいニラづくりを

水戸園芸部会ニラ部は、生産者43人が夏ニラ210アール、冬ニラ240アールを栽培しています。品種は、葉色が濃く葉肉が厚いのが特徴の夏ニラ「パワフルグリーンベルト」と、生育が良く収穫サイクルが短いため収量性が高い冬ニラ「ワンダーグリーンベルト」となっています。 部会長を務める山﨑透さん(72)は、水戸園芸部会が発足した当時から50年以上ニラ栽培に取り組む大ベテランです。現在、冬ニラの収穫時期を迎えており、ニラ栽培の魅力を「資材費などのコストが比較的低いうえ、農作業の負担も少ないのが良いです」と、山﨑さんは話します。同部では、80歳代の生産者も活躍中です。 通年出回り、炒め物、鍋物、みそ汁などの食材に人気のニラですが、山﨑さんのおすすめは、「ギョウザとおひたし」とのこと。研修会などにも積極的に参加し「まだまだ勉強中」と、技術向上に余念がありません。「高齢の農家にも栽培がすすめられる作物なので、部会員を増やして元気でおいしいニラづくりをしていきたい」と、話していました。

北部ショウガ部会 園部 孝元さん

ほ場を確認する園部部会長

ほ場を確認する園部部会長

加工用ショウガを新しい名産に

当JAの加工用ショウガ栽培は、平成20年に始まり、今年で6年目になります。城里町上入野の園部孝元さんは、常北、かつら、内原、水戸の4地区の生産者で組織された当JA北部ショウガ部会の部会長を務めています。 園部部会長は、JAでショウガ栽培が始まった経緯を「旧常北町(現在は城里町)はかつて、ゴボウ、ナガイモが盛んに栽培されていましたが、連作障害の対策として、ショウガ栽培が導入されました」と話し、「加工用ショウガがJA水戸北部の新しい名産になれば」と、期待を寄せています。4月に植え付けを行い、10月下旬から出荷がはじまった今シーズンは、加工業者からのリクエストで大振りのサイズの品種を初めて導入しました。 「ショウガ栽培は、夏場が勝負です。今年は気温が高く、雨が多かったのですが、品質は良いものができています」と、園部部会長。11月よりいよいよ出荷最盛期に入ります。

常澄地区ブランド米研究会 山崎 千正さん

収穫前の稲を見守る山崎会長

収穫前の稲を見守る山崎会長

環境にやさしく、うまい米づくりを

当JAの常澄地区ブランド米栽培研究会では、オリジナルブランド「コシヒカリ」の「水戸っ穂 風彩常澄(みとっぽ・かぜいろつねずみ)」を作っています。「風彩常澄」は、エコファーマの認定を受け、環境にやさしく、食味値の高い米づくりにこだわっています。肥料には、稲わらのすき込み、大豆、牛ふん、鶏ふんなどの有機肥料を使い、種子は温湯消毒することで化学肥料、農薬をできるだけ抑える取り組みを行っています。また、葉緑素計(SPAD)を栽培管理に取り入れ、葉色の数値に応じて、徹底した水管理を行っています。水稲を中心とした穀倉地帯として栄える常澄地区を育んでいるのが備前堀です。400年前に、水戸藩の初代藩主・徳川頼房が、関東郡代の伊奈備前守忠次に命じ築いた用水路で、農林水産省が2006年に選定した「疎水百選」に選ばれています。その備前堀が、テレビで紹介される時に、取材を受けた同研究会の山崎千正会長は、先祖代々、農家にとって不可欠な水を運んでくれている備前堀の大切さに、改めて気付かされそうです。「農業は、環境と調和した産業。この美しい景観を守っていくためにも、消費者や環境にとって安全・安心な米づくりを続けていきたい」と、話していました。